2009年2月21日 (土)

【読書日記】亜玖夢博士の経済入門

Akumu

【著者】 橘 玲 (タチバナアキラ)

【出版社】 文藝春秋

【ページ数】281ページ

【感想】
奇妙な表紙とタイトルに思わず手にした本。
パラパラと中を見ると、「相談無料。地獄を見たら亜玖夢へ」という文字や手書き風のイラストが目を引いた。

哲学・政治経済学から数学・物理学・生物学に至る諸般の学問の精髄を極めた亜玖夢博士の研究所にやってくる奇妙な人々。1話1理論をテーマに展開するブラックで破天荒な短編集。

《目次》
第1講  行動経済学      → 多重債務
第2講  囚人のジレンマ    → ヤクザ抗争
第3講  ネットワーク経済学 → いじめ
第4講  社会心理学     → マルチ商法
第5講  ゲーデルの不完全性定理  → 自分探し

理論がわからなくても読みやすく一気に読めてしまう。

著者の橘 玲 氏は初めて手にする著者であったが、経済関係で面白そうなものが多いのでしばらく同氏を中心に読んでみようと思った次第。

【お気に入り度】★★★☆☆

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2008年11月 9日 (日)

【読書日記】『しゃべれどもしゃべれども』『手紙』『晩夏のプレイボール』

読書日記をまとめて。

『しゃべれどもしゃべれども』 

                 Syaberedomo
【著者】佐藤多佳子
【出版社】新潮文庫
【ページ】421ページ
【感想】
偶然に目にしたので読んでみた。初めて読む作家のものであったが面白く読後感の爽やかなものだった。

前 座より少し出世しただけの若いけど頑固ものの落語家がひょんなことから悩み事を抱え人とうまく付き合えない中年男性、若い女性、小学生の男の子に落語を教 えることになる。はじめはギクシャクしているが次第に仲間意識が芽生えていき、また主人公である落語家自身も彼らに教えることで自分を見つめ直すことにな る。

皆が最後に悩みごとを解決するわけではない。しかしながら、落語を通してそれぞれの形で一歩を前に進むところで物語は終わる。
問題は解決してはないのだが、前向きになった登場人物の姿に爽やかさを感じる。DVDになっているので一度視てみよう。

【お気に入り度】★★★★☆

『手紙』   

Tegami         

【著者】東野圭吾
【出版社】文春文庫
【ページ】428ページ
【感想】
親の無い兄弟2人。弟を進学させるために兄は強盗を働き老人を殺害してしまい服役の身となる。兄は刑務所から弟へ手紙を出し続け、弟は無視し続ける…。強盗殺人犯の身内という差別によりこれでもかというくらいに大切なものを失っていく弟。音楽、恋人、仕事などなど。

加害者側の家族への差別という重いテーマ。
ラストは少しできすぎ感が強いが、重いテーマ故の作者の配慮かとも感じる。

【お気に入り度】★★★☆☆

『晩夏のプレイボール』   

Banka         

【著者】あさのあつこ
【出版社】毎日新聞社
【ページ】288ページ
  【感想】
  野球をモチーフにした短編集。
『バッテリー』とは異なり主人公は様々。野球が好きだったが中学校で女の子は野球部に入れないことを知り野球を止めてしまった女の子、野球の好きな男の子を亡くした夫婦などなど。大人が読んでも十分楽しめる。
高校野球の監督をしている友人に感想を求めてみたいと思った。

【お気に入り度】★★★★☆


 

 

 

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2008年11月 5日 (水)

【読書日記】失格社員

            

【著者】 江上 剛

【出版社】 新潮文庫

【ページ数】462ページ

【感想】

サラリーマンが守るべき掟を「モーゼの十戒」に擬えてシニカルに描く短編集。

例えば、「二神に仕えるなかれ」昇進試験に架空のヘッドハンティング話を持ちかけ社員の忠誠心を試すとか、「汝、姦淫するなかれ」ではセクハラを監督するコンプライアンス部の副部長がセクハラに陥っていくとか、シニカルというよりブラックユーモアに近い感想。読みやすくて一気に読むことは読んだが、身につまされることも多くてやや疲れたので☆は2つ。…「身につまされる」とは言ったものの別にセクハラしてるわけじゃないのであしからず。

【お気に入り度】★★☆☆☆

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2008年9月18日 (木)

「自分」から自由になる沈黙入門

Tinmoku

【著者】 小池龍之介
【出版社】 幻冬舎
【ページ数】177ページ

【感想】
著者は僧侶。
独特の文体で仏道でいうところの「貪欲」(むさぼる心)、「瞋恚」(怒りの心)、「愚癡」(真理に対する無知)の三毒を抑制し人間の醜悪さから解放されることを解く。

と、書けばわかりにくいが、要は「自分」濃度が濃すぎる人は回りから疎まれ、ギスギスした社会になってしまうということ・・・かな。

悪口や批判ばかりする人がいる。
本書によれば、他人を批判したり文句を言ったりするのは、自分のダメさ加減から目をそらして「ダメなのは他人、社会、世界のほうだ」と思いたいから。さらに他を批判している間は、自分のダメさを忘れられるうえに「こんな批判できちゃってるオレ/ワタシはすごく立派だよね」という印象を醸し出しているつもりと続く。
「批判」の名を借りて「自分、自分」というオーラを剥き出しにしてしまうことで自分濃度が濃くなるとは辛らつだが的を得ている。

印象に残ったのは「借金帳消し布施作法」というコラム。
人は他人に何かをしてあげるとき、必ず見返りを期待する。どんなに献身的行為が好きそうな人でも実際には我慢しているだけで我慢の限界を超えたら「これだけしてやったのに」という不満が爆発するという。この心の状態は欲望の自分濃度が濃く醜い。相手に恩着せという借金を背負わせることのないよう、親切心はこっそりひっそりと行うべし、とは大変難しい。

小生は職場において「ここまでしてやったのに」とか「~のくせに」とか絶対に口にしないよう心がけているが、心の中では思っていることもたまにある。

…まだまだ未熟者。

職場以外でたとえば列車の中で小さいお子さん連れのお母さんに席を譲るとかは何の利害もないので自然にできるが、利害関係だらけの職場で実践はやっぱり難しい。
せめて「ここまでしてやったのに、~のくせに」は口にしないことを継続しよう。

【お気に入り度】★★★☆☆

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2008年3月22日 (土)

【幻夜】

         

【著者】
 東野圭吾(ひがしの・けいご)
【出版社】
 集英社文庫
【ページ数】
 779P
【感想】
 あまり読まないミステリー、それも長編。
気になっていた売れっ子作家なので手に取った。
阪神大震災の混乱の中で出会った男女が上京する。自分の栄達のためには手段を選ばない女性を愛するが故に悪事を重ねていく。やがて、女性の真の姿に気がついた男性は悲劇的な最期を迎える。自分たちの人生は夜道しか歩けないと信じていたがそれも幻だったと男は知る。女は成功を手中におさめ、幻のような美しい夜を満喫するところで終わる。場面転換が唐突なようでやがてつながっていくところが長編だけど飽きさせないポイントか。実は「白夜行」の続編だとのこと。早速、白夜行を図書館で予約した。

【お気に入り度】
★★★★☆

 

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2008年2月26日 (火)

【ことばのとびら】

【著者】
 都染 直也(つぞめなおや)
【出版社】
 神戸新聞総合出版センター
【ページ数】
 237P
【感想】
普段なら手にしないジャンルであるがひょんなことから小生の出身地である播州地方の方言について書かれてあることを知り図書館で借りてみた。
2004年10月から2006年3月まで神戸新聞夕刊で掲載された同名コラムを一冊にまとめたもの。
全国の方言ではなく、同じ関西弁と言われながらも京都、大阪、神戸、播州などで異なるということをテーマにしているところが極めてニッチで良い。
特にグロットグラムという概念を用いて方言の境目を探る研究は大変興味深く読んだ。
学校で方言の勉強をしたという子供たちも興味を持っていた様子。ママは学生時代に友達に冷やかされたという「連用形命令表現」というところで盛り上がっていた。例:「早よ食べり(早くたべなさい)」
作者は小生と同郷でなるほど大変懐かしい「ゴーワク」や「べっちょない」などの方言にも言及しており、家族揃って郷里の方言を再認識した次第。
新聞のコラムということでひとつひとつのコラムが物足りないと思われるところもあったが郷里の方言が学問的に研究されているものは初めてで読み物として面白かった。
【お気入り度】
★★★☆☆

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2008年2月20日 (水)

【ホルモー六景】

               Horumo6_2
【著者】
 万城目学(まきめ・まなぶ)
【出版社】
 角川書店
【ページ数】
 291P
【感想】
巷で話題のTVドラマ「鹿男あをによし」の原作者の3作目でありデビュー作鴨川ホルモーの続編。
読んでみて少々肩透かしをくったような・・・。今回はオムニバス形式でホルモーを取り巻く人々の恋愛物語を綴っているのだが、1作目のぐいぐいと物語に引き込まれていくほどのパワーが感じられなかった。確かに文章は洗練されていて意外な
つながりがあったりと面白いのだが。
第6景の「長持の恋」は時代を超越した淡い恋愛物で良かったかなぁ。
初めて読む人はまずは鴨川ホルモーを読んでからでないと意味がわからないと思う。
続編というより、”外伝”あるいは”スピンオフ”という位置づけ。好きな作者の本だけに少々期待しすぎたようだ。次回作に長編小説を期待したい。


【お気に入り度】
★★☆☆☆

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2007年12月 7日 (金)

『自分の感受性くらい』

ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか

苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし

初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった

駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄

自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ


          ~「自分の感受性くらい」茨木のり子より~

普段は詩というものを読まない、というより想像力に乏しい小生にとって、無駄な文章をそぎ落としたような詩というものを理解することがなかなかに難しいのだ。

そんな中、子供と見ていたTVドラマでこの詩が紹介され、一度読んでみようと思った。

あらためて文字で読んでみるとなかなかに鋭い。

壱姫は学校の教科書で知ったそうで特に最後のパラグラフがお気に入りのよう。また、小生の眼前で音読し、「結構反省することがあるでしょ」だと。たぶん、3つ目のパラグラフなんでしょう、言いたいことは。はいはい、反省しています。

1975年に発表されたもの。30年を経た現代の子供にも何かしらの印象を与えるこの詩は『本物』ということなのでしょう。

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2007年11月23日 (金)

『鴨川ホルモー』

【著者】
 万城目学(まきめ・まなぶ)
【出版社】
 ㈱産業編集センター
【ページ数】
 281P
【感想】
  このごろ都にはやるもの、勧誘、貧乏、一目ぼれ。
葵祭の帰り道、ふと渡されたビラ一枚・・・・。

前回の読書日記で紹介した『鹿男、あをによし』の作者のデビュー作。京都を舞台に学生達の青春物語(?)。鹿男も大概だったが、こちらも結構なもの。主題は何かと問われればはてさてとなるところだが、真面目に無茶苦茶な設定が面白い。文章がユニークで大笑いするほどではないがニヤリとさせられる。

「ホルモー」が何か気になる人は是非一読を。映画の「マスク」や「シュレック」などナンセンスものが好きならば気にいるかも。

【お気に入り度】
★★★★☆
Kamogawa_2

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2007年9月14日 (金)

鹿男あをによし

【著者】
 万城目学(まきめ・まなぶ)
【出版社】
 幻冬舎
【ページ数】
 394P
【感想】
 やむにやまれぬ事情で女子高の理科の臨時教師として奈良に赴任する主人公。生徒達となかなか馴染めず悩んでいる最中に奈良公園の鹿から話かけられ、ある大役を命じられる・・・。評判通り面白い小説であり、読後感も爽やかなものがあるが、はてさて主題はと考えると・・?子供でも気楽に読める娯楽本。コミックが次々とTVドラマになるご時勢。荒唐無稽なこの小説はドラマにすれば面白いかも。表紙の絵はいいねぇ。

【お気に入り度】
★★★☆☆
Shikaotoko

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2007年4月22日 (日)

エイジ

【著者】
 重松 清
【出版社】
 朝日新聞社
【ページ数】
 346P
【感想】
 中学2年生の少年が主人公。
つい先日まで一緒に机を並べていたクラスメートが通り魔事件の犯人となってしまうことをきっかけに自分の中にも潜む同様の衝動に気付く。悩みながらも家族、友達とのシガラミを通して自分を見つけていくという展開。

 「キレる」ということは我慢とか辛抱とか感情を抑えるということがプツンと切れるという意味ではなく、自分と自分以外を縛りつけているチューブのようなわずらわしい「つながり」を断ち切ろうとすることではないかという見方は印象深い。

 好きな作家の1人なのでたまたま手にしただけだが、先週の新聞記事では中学入試に登場する小説第1位になっていたし、子供の国語の教科書にも紹介されていた。

 これも偶然ではあるが、改正少年法が衆院を通過しほぼ成立の見通し。
 単なる青春小説ではない重みと著者独特の清清しさを持ち合わせた良書。
【お気に入り度】
★★★★☆
Age_2

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2007年1月25日 (木)

『国家の品格』

【著者】
 藤原正彦
【出版社】
 新潮新書
【ページ数】
 191P
【感想】
 数学者でありながら、文学や宗教、経済に至るまで論じる博識ぶりに感心。具体策に乏しいような感もあるが、愛国心の2つの側面(ナショナリズムとパトリオティズム)などは結構納得のいく内容。最終章の「品格ある国家の指標」の1つとして「美しい田園」が挙げられているところでは学生時代に確か農業経済学の先生だったが同様のことを延々と講義されていたことを思い出した。全面的ではなく部分的には参考になるってとこかな。
【お気に入り度】
★★★☆☆
Kokkahinkaku

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2007年1月11日 (木)

『素直な戦士たち』

今日は平日休暇。昨年5月以来久しぶりの読書日記のアップ。本を読んでいなかったわけではないが、これといったものがなかなかなかったわけ。

【著者】
 城山三郎
【出版社】
 新潮文庫
【ページ数】
 302P
【感想】
 社会人になりたての頃よく読んだ作家。経済小説の多いなかで異色といえる家庭教育をテーマとした小説。奇妙な見合いから物語は始まる。見合い相手の女性からの最初の質問は「あなたのIQはおいくつですか」。エリートでもない平凡なサラリーマンは退屈から脱却できるかもという期待で2人は夫婦となる。この奥さんの夢は子供を東大に入れること。物語の前半は胎教どころか受胎前から奥さんの遠大な計画に振り回される父親がユーモラスに描かれており、願いどおり授かった男の子は「素直な戦士」として順調に育っていくかのように思われる。しかし、やがて自我が目覚めた子供はあらぬ方向へと追い詰められ、悲劇的な終末を迎える。この小説は昭和57年に発行されたが、現在でも同じような悲惨なニュースを耳にすることがあり、受験をめぐる問題は昔も今も変わらないものだと感じた。
教育関連の雑誌が花盛りの今、年頃の子供を持つ親として考えさせられた。
【お気に入り度】
 ★★★★☆
Sunaona

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2006年5月14日 (日)

ズッコケ中年三人組

【著者】
 那須 正幹
【出版社】
 ポプラ社
【ページ数】
 269P
【感想】
 1978年にスタートした「ズッコケ3人組」シリーズ。2004年12月に完結するまで実に50巻ものシリーズが発刊された。1978年といえば小生は小学高学年か中学生くらいなので初刊の読者はもう少し若い世代ということになろうか。ズッコケシリーズを知るようになったのは自分の子供が一時夢中になっていたことから。主人公達は小生とほぼ同世代。昔は怪盗Xを追い詰めたヒーロー達も今は平凡な人生を送っている。そんなところに老人となった怪盗Xが再び現れ、主人公達に挑戦状をたたきつける・・・、っていう荒唐無稽なお話。
 オールドファンには非常に懐かしいものがあるだろうし、親子2代でも楽しめる内容になっているのではないだろうか。

【お気に入り度】
 ★★★☆☆

Zukkoke

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2006年4月29日 (土)

冷や汗の向こう側

【著者】
 三谷 幸喜
【出版社】
 朝日新聞社
【ページ数】
 193P
【感想】
 朝日新聞木曜夕刊に連載中のエッセイ「三谷幸喜のありふれた生活」の4冊目。2004年3月31日~2005年3月30日まで分をまとめたもの。エッセイはあまり読まないが唯一このシリーズは毎週楽しみにしている。内容はドラマの舞台裏や、愛犬との生活など面白おかしく綴ったもので楽しみにしている割には内容は余り頭に残らない。そう、マンガみたいに気楽で、以前読んだであろう内容でもニヤッとしてしまう。個人的にツボにはまる。

 【お気に入り度】
 ★★★★☆
Arifureta4

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たそがれ清兵衛

【作者】
 藤沢 周平
【出版社】
 新潮社
【ページ数】
 291P
【感想】
 真田広之/宮沢りえ 出演で映画化されていたのでてっきり長編と思って中身も見ずに借り、読み始めたら30ページほどの短編だった。8編のタイトルがどれも”形容詞+名”になっていることが面白い。例えば「ごますり甚内」「うらない与右衛門」など。形容詞はネガティブなものが多い。
貧乏侍で且つ他人からは少し嘲りの対象となっている主人公だが、実は剣の腕前は免許皆伝で藩が公にしたくない仕事をこっそりやってのける。でも、その後も出世はせずにこれまでどおりに暮らしていくというような展開が中心の気軽な読み物。
 
貧乏で他人からなんと思われようと”いぶし銀”のような仕事をする主人公達はある意味格好よくもある。
 【お気に入り度】
 ★★★☆☆
Tasogare

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2006年4月16日 (日)

天国までの百マイル

【作者】
 浅田 次郎
【出版社】
 朝日新聞社
【ページ数】
 267P
【感想】
 自己破産をし離婚もし人生に投げやりになりつつある40歳の男性が、自分の母親の病気をきっかけにもう一度やり直そうと思うようになるというストーリー。
貧乏だからこそ見つけられる人間らしさや優しさというのはうなづけるものの、後半はやたら善人ばかりが登場しあまり琴線にふれなかったかなぁ。
2000年に時任三郎主演で映画化されているが・・・・。
 【お気に入り度】
 ★☆☆☆☆
Tengoku100

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2006年3月26日 (日)

壬生義士伝(上・下)

【作者】
 浅田 次郎
【出版社】
 文藝春秋
【ページ数】
 上:390P 下:373P
【感想】
 幕末、鳥羽伏見の戦。南部盛岡藩蔵屋敷に一人の傷ついた武士が転がりこんでくる。
 その武士とはかつて南部盛岡藩を脱藩し新選組隊士となった吉村貫一郎であった。かつての親友、大野次郎右衛門が蔵屋敷の責任者であったが、命乞いをする吉村に切腹を申し付けるところから物語は始まる。
 物語は吉村本人の書簡や命が途絶えるまでの心の呟きと、彼を取り巻いた人々(新選組隊士や大野、吉村の子孫など)の問わず語りがクロースオーバーする形で展開する独特の形態。この独特の形態に当初は戸惑いもしたが、下巻に到達するころはストーリーに引きつけられていった。武士道とは、男とは、友情とは、家族とはなど色々と考えさせられた。
 「武士は義のために生き、義のために死するものぞ。お前は妻子を養うことを義と思い定めて生きたではねか。そんで、賊と呼ばわれてもしかとまことの義ば信じて、錦旗に立ち向こうたではねか。誰が何と言おうが、お前は立派な武士じゃで」
 との一文が印象深かった。
 久しぶりに小説を読んで涙が滲んだ。

【お気に入り度】
 ★★★★☆
mibugisi1 mibugisi2

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2006年3月12日 (日)

コイン・トス

【作者】
 幸田 真音(こうだ まいん)
【出版社】
 講談社
【ページ数】
 288P
【感想】
 現在は警備会社でガードマンをしている外資系証券会社の元ディーラーが昔恋心を覚えた同い年の元同僚と再会するところから物語が始まる。互いの気持ちを確認し東京で会う約束をしたが、元同僚は出発当日の2001年9月11日にニューヨークでのWTCテロに巻き込まれ消息を絶ってしまう。主人公が東京とニューヨークを舞台に彼女を捜し求めるというストーリー。
 主人公が今はガードマンとなっている背景や、登場人物のストーリー展開への関与など今ひとつはっきりせず、小説のテーマがぼんやりとしてしまった感がある。
 エンディングも「え?」という感じで唐突な感じが否めない。
【お気に入り度】
 ★☆☆☆☆
cointoss

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レベル7

【作者】
 宮部みゆき
【出版社】
 新潮社
【ページ数】
 397P
【感想】
殺人現場を目撃した遺族が薬物により記憶喪失にさせられるが、わずかな手がかりをもとに事件の真相を紐解いていくというもので、全体を通して悪夢の中というか現実離れしていてちょっと苦手かも。
エンディングは一捻りがあり面白い。
【お気に入り度】
★★☆☆☆
 
level7

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